
私は現在、急性期病院の循環器内科と心臓血管外科病棟で勤務している6年目の看護師です。3年続けて新人指導をおこなっています。また、今年は学生指導もおこなっています。
当病棟では4月から新人看護師が5人配属されました。入職から4カ月が経ち、現在2名の患者さんを担当している状況です。慣れない環境で毎日必死に頑張っています!
そんな中で、まず病棟についたら、担当する患者さんの「情報収集」をしますよね?新人の頃はこの「情報収集」が一つの難関になる方も多いと思います。事実・・・
- 何が大切な情報かわからないです
- どんな情報が必要なのかわからないです
- 時間がなくて間に合わないです
ということを言っている新人さんがほとんどです。
あなたも同じ悩みを抱えているのではないでしょうか?
とはいえ、私も新人の時は全く同じ気持ちでした。
「情報取れなくて、どうやって働くつもり?」「今日なにすんの?やる気ないなら帰れば?」
なんていう心無い言葉を言ってくる先輩がいる中で、必死に毎日出勤しましたよ。
当時の私は、心の底から「効率の良い情報収集の方法を教えてくださーい!」って思っていました。
そこで今回は、実際に指導する立場になって思う、新人看護師の情報収集における「5つのポイント」をお伝えします。また合わせて、考え方の例も挙げていきますので、参考にしてみてください。
さっそく行きましょう!
情報収取の5つのポイント

新人看護師における、まずは最低限おさえておきたい情報収集のポイントを5つは下記になります。
- バイタルサイン
- 既往歴の確認
- 処置歴の確認
- 検査歴の確認
- 点滴や内服薬の把握
一つずつ見ていきましょう。
バイタルサイン

最初はバイタルサインから情報を取りましょう。
体温、血圧、脈拍数、呼吸数、SPO2 尿量、血糖値の経過などを見ます。
- 「ここ最近、熱が上がったり下がったりしているな」
- 「尿量が少なくなってきている」
- 「脈拍が少し早くなってきている」
など、考えるために必要な素材を集めておく必要があります。
バイタルサインの経過を見て、上記のように「熱が上がったり下がったりしている」「尿が少ない」「頻脈傾向」という情報を取ったとします。
その後、朝の患者挨拶で部屋を回る時に、実際の患者さんの状態を観察します。
- 熱出てるみたいだけど汗はかいてるかな?
- 尿量減ってきているけど、水分は摂れてるかな?
- 食事は食べれてるかな?
- 活気はあるかな?
- ドキドキするような自覚症状はあるかな?
情報収集したバイタルサインをもとに、上記のように考えを膨らませながら、実際の患者さんを観察しに行きましょう。
観察の結果、患者さんは
- 熱が下がった為、汗をかいていた
- 活気がなく、倦怠感を訴えていた
- 倦怠感から食事や水分摂取がすすまない
- 心臓のドキドキを感じることが増えた
という状態だったと仮定します。
では、今日1日あなたが見るべきところはなんですか?
私だったら、
連日、体温が上がったり下がったりしている。解熱時には発汗している。倦怠感から食事や水分が取れていない。連日尿量が減少している。以前より心臓の鼓動を感じることが増えた。
このことから、脱水の可能性があると考えられる。その為、日中の関わりを通じて、尿の性状は濃縮尿ではないか?介助してみて水分や食事は摂取できるのか?また摂取量はどの程度なのか?一時的な頻脈なのか、それとも常に頻脈経過しているか?などを観察する。
観察結果を指導役ナースに報告。その後は指導役ナースより主治医に報告してもらい採血や点滴投与などを検討してもらう必要がある。
例として簡単にしてみましたが、このような流れが想定されます。
情報収集の時に、3日間くらいのバイタルサインの経過を追って、考えるのに必要な材料を情報収集しておくことで、あらゆる可能性を想定(アセスメント)することができます。
毎日少しずつでいいので、考えるために必要な材料はなにか?ということを意識していきましょう。そこから疾患につなげていければ良いので、焦らず訓練していきましょう!
既往歴の確認

情報収集の時には既往歴を確認しておくことも大切です。
私の病棟でもよくあるのですが、心不全で入退院を繰り返している患者さんがいるとします。
既往歴には高血圧や高脂血症があり、降圧薬や脂質異常に対する内服薬が処方されています。
このような患者さんの場合はどうでしょうか?
心不全に対する観察も大切なのですが、ここで重要なのは「入退院を繰り返している」ということ。
心不全という病気は「水分制限」「塩分制限」を厳しくおこなっていかないと容易に再発する病気です。既往に高血圧や高脂血症があるということは食生活が破綻していることが予想されます。
なので、再発予防を目的に生活指導を行う必要が出てきます。
- なんで入退院を繰り返すんだろう?
- 食事は誰が作ってるんだろう?
- 自炊が多い?外食が多い?
- そもそも、塩分制限のこととか知ってるのかな?
などに注目して患者さんに関わり、退院後の患者さんが疾患と上手に付き合っていけるように介入することも大切です。患者さんの生活背景を考えて看護をおこなうこと(個別性)も重要になってきますので、チェックしておきたいポイントになります!
処置歴の確認

褥瘡の処置や術後の傷の処置をおこなっている患者さんも多いです。その処置内容を知っておけば、なんとなく患者さんの状態がイメージできます。
傷の治りに関係してくる項目として代表的なのは血糖値があります。血糖値が高いと創傷の治癒が遅れます。
- 術後だけど血糖値は上がってないかな?
- 血糖値が高い場合はどうしているのか?
- 既往に糖尿病はあるかな?
- 創部はどこにあるのかな?
- まだ出血や浸出液があるのか?
- ガーゼ保護はされてるのかな?それとも保護されておらず創部には何も貼ってないか?
- 褥瘡はあるのかな?
- 褥瘡の状態はどうだろう?乾いている?まだ出血や浸出液があるのか?
- 褥瘡があるならどこに発生しているのだろう?
- 褥瘡に対してはどのように介入しているのだろうか?
ざっとですが、このような項目に関して情報が取れていればとりあえずは十分です。
このくらいの情報があれば、根拠を持って指導者に説明できますね。
処置と言っても非常に多くの種類があるためすべては挙げられませんが、あなたが勤務している病棟のなかで、よくおこなわれてる処置は何か?ということをよく調べて勉強しておきましょう。
検査歴の確認

どんな検査をおこなっているのか?またその結果はどうなのかを知っておくことで、患者さんの現在の状態を把握することができます。
なので、必ず最近の検査結果を確認し、医師のコメントを確認しておきましょう。
例えば、レントゲンの結果で医師のコメントに「胸水が残存」などとカルテに記載があった場合、あなたが今日の担当で観察する項目としては「胸部違和感」「息苦しいさ」「咳がでる」「SPO2低下」などの観察項目があげられるようになります。
検査の結果をうけて、「出現する可能性がある症状」を調べておき、観察項目に取り入れられるといいですね。
点滴や内服薬の把握

最後の5つ目は投薬に関することです。
あなたが今日担当する患者さんはどんな点滴を実施していますか?また内服薬はどんなものを内服していますか?
点滴の種類や内服薬の効果や副作用については必ず聞かれるポイントでしょう。
当然ですが、投薬がおこなわれているからには必ず理由があります。
食事が経口摂取できない患者さんには栄養剤、炎症所見がある方には抗生剤など目的があります。
逆に言えば、点滴や内服薬の種類がわかれば、ある程度患者さんの状態をアセスメントすることが可能になります。
例えば、抗生剤を投与されてる患者さんがいたら、
「何かしらの感染や炎症があるんだ」
と思いますよね?そうしたら、
「じゃ、すでに熱があるかもしれない。急にガタガタ震えて高熱が出るかもしれない。傷が化膿してるかもしれない。」
などと、発展させることができ、観察項目として挙げられますね。
また、投薬の効果を観察するのも重要です。
例えば、利尿剤を投与した後に、どのくらいの尿量があったのかを観察していない看護師はいません。必ず投薬に対しての反応を見てください。
「利尿剤を投与して半日経っても尿が少ない」なんて時は、すぐに指導者に報告し相談をしましょう。
患者さんの病態と投薬の関係を理解しながら少しずつ積み重ねていきましょう。
まとめ
今回ご紹介した項目を意識して実施していけば、あれこれ悩まず効率よく情報収集ができると思います。実際はまだまだ必要なことはたくさんありますが、1年目のあなたに多くのことを求めすぎてもパンクしてしまいます。
しっかり要点をまとめて、5つのポイントに沿ってやってみましょう。
私も新人時代は思い出すだけで憂鬱になります。1年目の時、出勤時にワンオクを聴いていたのですが、今でもワンオクを聴くとあの時の辛い感情が鮮明に蘇りますw
多くの課題や勉強で押しつぶされそうになっていると思います。そんな中で先輩から理不尽な扱いを受けたり、酷い言葉を浴びせられたりしたら、体も心もボロボロになります。
私の同期も1/3が他の病院に転職しました。
結果的には転職先で元気に活躍している同期がほどんどです。
ですので、1つの施設に固執ぜず、転職することで今よりもっと楽しく看護師として働けるかもしれません。
参考までに、実際に同期が利用してよかった転職サイトを教えてもらったの載せておきます。
看護師転職支援サービス ナースネクスト 対応歴10年以上のベテランエージェントがあなたの求める転職先をご紹介します。心が壊れる前に、プロに相談してみましょう。
あなたが看護師でよかったと思えるように、今後も役に立ちそうな記事を投稿していきます。
ではまた!
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